会社を変えるためのたった一つの方法!

本の紹介
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今回紹介するのは『業務改善の問題地図』という一冊。

もしあなたが以下の箇条書きの内一つでも「あ、ウチの会社のことだ。」と思ったならば是非とも見て欲しい。

  • 「働き方改革」「残業時間短縮」などのキーワードを人事、経営企画部に丸投げする経営陣
  • 「どうせ提案しても無駄」だという現場の風潮
  • 若手の意見が「それはお前の仕事じゃない」「数字にならない」と一蹴される
  • 新ソリューションを導入するも全く使えず、浸透しない
  • 改善しようとすると「今更変えたくない」と現場に抵抗される
  • 皆変えたいと思ってはいるが、何をしていいのか誰もわからない。

の計6つ。

これは私の予想だが…会社、或いは伝統的な部活動に所属している人間のほとんど全員に当てはまっている内容なのではないだろうか?

おそらく今これを読んでいるあなたにもきっと。

だがもしあなたが「この状況を少しでもマシにしたい」又は「社会における自身の立ち回りのために知っておきたい」と考えているのであれば是非とも『業務改善の問題地図』を読んでみて欲しい。

きっと助けになるはずだ。

以下には本書を読んで私が感じたことと共に簡単な内容を記載する。
詳しくは本書を読まなければわからないかもしれないが、これだけでも多少は力になると思うので読んでみて欲しい。

ここがスゴイ①経営者、中間管理職、若手社員。それぞれの立場からのメタ認知

「私は客観的に物事を捉えることができます!」…これは面接でよく耳にする常套句。もしかしたらあなたやあなたの知人も使ったことがある一言かもしれない。

が、社会に出てみればわかると思うが、実際に客観的な視点で物事を考えられる人間などいやしない。

もしも本ブログの読者の中で「いやいや、私だけは客観的に見ることができている」と思っている方がいたならば…「残念ながらそれは勘違いである」と言わざるを得ない。

基本的に人間は自身の主観でしか物事を見ることはできない
例えどんなに素晴らしい努力家や天才であったとしても、それだけは変えられない。

何故かって?それは人間にはこれまで生きてきた間に培ってきた経験が蓄積されているからだ。

生まれる⇒両親や親族の価値観で育つ
⇒学校と友人の価値観で育つ⇒部活や習い事の価値観で育つ
⇒動画や本、メディアの中でも取り分け自分や自分に近い人達の興味に合わせた物を見聞きする
⇒別れ、挫折、いじめ、栄誉、恋…。多くの人が味わう感情だが、他人とは異なる状況で与えられる衝撃。

これら全てが複合的に混ざり合った結果、出来上がるのが『人格』である。

それでも喧嘩している二人の仲裁をしている時などは、客観的なつもりになれるかもしれないが、仲裁役の心にも「善悪」や「好き嫌い」の感情は存在する
それを全く抜きにして話をするなど絶対にできない。それこそロボットでない限り絶対に。
「どこまでも客観的でいたいと思っているだけの主観」といえば適切だろうか。

※このことは様々な学者が唱えているが、あえて一人上げるとするならば「アモス・オズ」の名を出すとしよう。彼のことは善悪の話を混ぜていつか詳しく語ろうと思っている。

しかしだ。

相手の感情を完全に理解することは不可能だが、想像を張り巡らせることはできる

  • 「私はこの映画がつまらないと思っているけれどもそうではない人がいるかもしれない。」
  • 「これは絶対に正しい。…とは思っているけれど向こうの立場からしたらどう思うだろう?」
  • 「私としては常識だと認識しているけれど、他人にとっては違うかも?」
  • 「正しいとは思うけど、誰かに負担を強いてしまっているのではないか?」

といったように、様々な角度から予測することはできる。

例え相手の真意はわからなくとも、それに近い事を想像するだけで、意見が一方通行になることはないだろう。
時には上司から言われた理不尽に対しても、「この人にも立場はあるからな…」と意識できることで、自身の内側のストレスを軽減することもできる。

しかし「いきなり想像しろって言われてもどうしていいかわからないよ」という声はあるだろう。

だからこそこの本『業務改善の問題地図』なのだ。

会社という巨大で複合的な組織における様々な立場の人間

「経営者、部署、中間管理職、営業社員、内勤社員、若手」これら様々な立場の人間が抱えやすい悩みと共に、どうして『改善が進まないのか』『進めるにはどうすれば良いのか』が詳しく解説されている。

勿論全てがピッタリと自分の勤める会社の状況に沿っているかと言われればそうではないが、かなり多岐にわたる実例と行動心理が記載されているため、間違いなく参考にできるカ所がある。

ここがスゴイ②様々な立場の人間を納得させる手順まで解説

〇経営者

「働き方改革するぞ。業務改善は人事に任せた。」

〇人事部門

「管理職のみなさん。自部署の残業を減らしてください。未達成の場合評価下げます。」

〇現場管理職

「改善?そんな時間あるわけない。人事が全部やってよ。」
「改善したフリだけしとこう。とりあえず残業するなとだけ言っておこう。」
「俺達管理職だけが沢山残業すればいいんでしょ?」
「その前に無茶な予算と数値目標を改善してくれ。人も増やせ。」

〇現場社員

「残業減ったら手取りも減るじゃん。」
「改善提案したって抵抗勢力に潰されておしまい。」
「改善するための資料とかで寧ろ仕事ふえるわ。」
「形だけの研修とか朝礼とか導入されても面倒なだけだ。」
「システム登録やら報告やらで時間取られ過ぎて本業ができないんだよ。」
「外注するための合い見積もりが既にめちゃ時間かかる。なら自分で残業するわ。」
「業務改善の前に使えない社内システムをどうにかしろ。」

〇情報システム部

「そんなこと言ったって、予算くれないからシステム導入できません。」

とまぁ簡単に書き出してみただけでも、業務改善にはこれだけの障害がある。
そしてこれはそれぞれの立場に立つ人間から見たら「当たり前」の感情だ。決して悪い事ではない。

しかしこれでは業務改善が進まないのも事実。

であるからこそ本書では「会社全体で取り組むことの重要性」を唱っている。

「〇〇部が、支店がやってくれるでしょ。」……これがどれほど難しい事なのかは上に書き出したそれぞれの立場からの反対意見からもわかると思う。

そもそも「ここに羅列した反対意見にすら気づいていない」という人間の方が会社にはおそらく多い。

全員他人の立場など度外視で、自分と自分の部署の人間が「正しい」と思った事だけを主張している

『業務改善の問題地図』ではこれを打破するための手順が記載されている。

一方的に意見を押しつけるわけではなく、「相手の立場と考えに配慮した上で協力を求める方法」を説明してくれているのだ。

「周囲の環境が自身の価値を決める」…ならば動かない手はないだろう。

ここがスゴイ③中間管理職ブロック

「社長は『業務改善推進』をとなえた!」
「若手のモチベーションが上がった!」
「課長たちは微妙な表情をしている…」

「若手Aは、職場の問題を指摘した!」
「若手Bは、改善を提案した!」

「ミス!課長Aは身をかわした」
「課長Bは眠っている…」
「部長は、若手A若手Bの発言をふうじこめた」

「若手Aは成長をあきらめた」
「若手Bは逃げ出した」

「社長は嘆いている…」

引用元:業務改善の問題地図 3丁目 P.94

上記は本書に記載されたRPG風表現だが、面白いので引用させてもらった。

実は本書が最も重点を置いているのは『中間管理職』と呼ばれる立場の方々だ。

勿論中間管理職には中間管理職ならではの悩みがあるのだが、「業務改善」が進まない最多パターンには、以下のような例が多発している。

①改善を進めたい社長が現場に改善の大切さを熱く語る。
⇒「君たちの新しい目線が大切だ!」
②社長の号令で若手が意気込む。
⇒「成長のチャンスだ!効率の悪い紙媒体もなんとかなくしたい!」

③部課長から待ったがかかる。
⇒「改善はお前の仕事じゃない。」
 「それをやったら数字が上がるの?」
 「過去の先輩たちがこのやり方でやってきたのに、新人が変えるなんて何様?」

④業務改善修了

とこんな感じだ。

「あれ?これウチの会社のこと?」…と思ったあなた。
大丈夫。私がこの本を読んだ時もそう思った。

経営者と末端の意見は一致している。どちらも改善したいと思っている。

しかし悲しいかな。その全ては中間管理職を通したことにより水の泡となる

〇中間管理職の思い

しかしこれでは中間管理職が悪者になってしまうので、彼らの心情も読み取っていこう。

  • 言い分はわかるが改善のための仕事がさらに増えることになる
  • ならば目標をさげるなり、人を増やすなりしてくれ
  • 「働き方改革」とかいって部下の残した仕事は全部俺がやるだけじゃん
  • 中間管理職だって労働者だぞ
  • それをすることでコンプライアンスだのと資料が増えて、結局本業すらできないのが今まで
  • 昔は残業は美徳だったのに…

あー…。なるほど確かに。

一瞬で業務改善されるならいいけれど、それを行うまでの労力は計り知れないのはわかる。
残業をさせないために、自分の残業を増やすことになるのも嫌だよな。
「管理職」だって労働者のはずなのに、残業したってお金が支給されない。平社員と違って数字以外に価値を見出すメリットが薄いのもわかる。

特にやるせないのは「昔は残業は美徳だったのに…」の部分。

これは今では常識で、それが当然の社会しか経験していないのであれば「残業は美徳」などとは考えられないし、寧ろ悪であると切り捨てたくなる気持ちもわかる。勿論間違ってもいない。

しかしだ。彼ら管理職が最も励んだ時代では「美徳」とされた価値観なのだ。
それを否定されるということは、自身の努力の全てを否定されたような気持ちになってしまう。

〇スポーツを例に挙げてみよう

高校、大学時代に野球やサッカーを本気で頑張った。
本気でプロになれると信じてやり抜いたが、叶わなかった。
悔しかったが気持ちを切り替えて社会に出た。

しかしスポーツの話をしたときに「そんな努力なんの意味もないよ。無駄」と言われたらどうだろう?

「確かにそうだな」…となるだろうか?
勿論プロにならない限り、スポーツの実績が社会で評価されることは少ないことはわかっている。
しかしだからといって、自分の努力を否定されることを受け入れることなどできはしない。
少なくともその時、その瞬間が自身の努力の最盛期であったのだから。

…こんなところだ。どうだろう?少しは伝わっただろうか?

では話を戻すが、「業務改善」とは以上を踏まえた上で行うのが望ましいと本書は説いている。

決して一つの役職や個人の業務過多になってはいけない
会社全体で取り組む必要がある以上、どこか一つの役職や部署に不満が募っては成り立たないのだ。

「人を動かす上で重要なのは理屈ではなく感情」どこまで大人になろうともこれだけは変わらない。

終わりに

ここまで幾つか紹介してきたがいかがだっただろうか?

『業務改善の問題地図』には他にも各立場の中から出てくる「抵抗勢力」とその懐柔方法
上記で紹介してきた立場を踏まえた業務改善の具体的方法などが記載されている。

累計24万部の人気シリーズであることを実感させられる程の良作である本書は、読んで損はない一冊だ。

世の中、ブラック企業と呼ばれる会社が沢山あるが、その全てが望んでそうなっているわけではない。
ただ仕方なく、改善する方法がわからないために陥ってしまうに過ぎないのだ。

例え、世のニーズを捉えて一代で会社を巨大化させた天才経営者であったとしても、内部の環境についての知識は乏しく、一度傾いてしまえば立ち直れなくなることは多々ある。
お客様に買ってもらう能力(数字を作る力)と内部環境を整える力は同じではない。
数字を信仰しているサラリーマンは多々いるが、それだけでは会社は成り立たないのだ。

長くなってしまったが、以上で締めとさせていただくとしよう。
多くの社会人が抱えるモヤモヤが少しでも晴れることを祈って。

それではまた次回。

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