神社に性質の違いがあることは知っているでしょうか?
「有名な神社に行って恋愛祈願をしてきた!」などの声をよく聞きますが、その願いは本当にその神社でする願いなのでしょうか?
「恋愛専門の神様」がちゃんといらっしゃる神社だったのでしょうか?
今回は誰でも簡単に神社の御利益を見分ける方法についてご紹介いたします。
知っていると旅行が楽しくなること間違いなし!
神社御利益=神様の力
結論をいうと神様の力=神社の御利益です。
つまり「何の神様か」がわかれば御利益もわかるということになります。
そして神様が何の力を持っているのかを決めるのは神話です。
例えば有名な「出雲大社」は縁結びの御利益を持っています。
出雲大社の祭神である「オオクニヌシ」様は神話にて様々な女神と恋に落ち、最終的に「スサノオノミコト」の娘である「スサ姫」と結ばれます。さらには国譲りによって「天津神」と「国津神」を結んだ功績もあるため、日本最大の縁結び神様として名高いのです。
「オオクニヌシ」様は「オオナムチ」と呼ばれることもあるから、他の神社に祭られている時はそっちの名前で記されていることもあるよ。
〇〇神社=この神様!
出雲神社ならオオクニヌシ様。天神神社なら菅原道真様。
といったように、日本のどこにあっても神社の名前が同じなら、祭られている神様も同じです。
神社の数はコンビニよりも多いため、全てを覚えるなどということは不可能ですが、神社の世界にも勢力があるため、「有名どころ」を覚えておけば大体なんとかなるものです。
セブンイレブン、ローソン、ファミマ、この3つをしっておけば、セイコーマートやポプラやミニストップなんかをしらなくてもコンビニに困ることはほぼないのと一緒だね。
〇摂社と末社の御利益は弱い
主祭神ではない神様が祭られている摂社や末社と呼ばれる小ぶりの社が境内にはあります。
もちろんそこにも御利益はあるのですが、あくまでも主祭神の御利益がメインになりますので、
例え摂社に縁結びの「オオクニヌシ」が祭られていたとしても主祭神が「武神タケミナカタ」であれば、基本は必勝祈願の神社となります。
日本の神社の数ランキングベスト10
- 八幡 7817社
- 神明 4425社
- 天神 3953社
- 稲荷 2970社
- 熊野 2693社
- 諏訪 2616社
- 牛頭天王 2299社
- 白山 1893社
- 日吉 1724社
- 山神 1571社(山神は特定の神様のことではありません。)
6位の諏訪大社まではこのあと詳しく説明するよ!
2位の神明神社だけはちょっと特殊だから別枠で語るけど。
牛頭天王とか何さ?めっちゃ多いのに知らないんだけど。
三貴神には特定の御利益がない
天照大御神、月読、素戔嗚(アマテラス、ツクヨミ、スサノオ)の三柱を総称して「三貴神」と呼びます。
この三柱は日本神話における最高神であり、他の神様とは性質が異なります。
「菅原道真は勉学」「稲荷は五穀豊穣」といった具合に何か特定の御利益を持っているわけではなく、「神様を総括する」や「人々の暮らしそのものを守る」や「日本を見守る」といったように個人レベルではない大きな範囲で御利益を発揮する神様とされています。
※三貴神が主祭神となる神社こそが第2位の「神明神社」です。
〇天照大御神
アマテラスは太陽の神様です。太陽が昇っている間は地上の全てを見守って下さるという壮大な神様です。
〇月読
ツクヨミは月の神様です。アマテラスの弟とされており、対を成す神様として太陽がない夜の時間を見守っています。神話ではアマテラスとツクヨミが喧嘩をしたことでお互いが出会わない時間に地上に出てくるようになったと言われています。
〇スサノオ
スサノオは三貴神の末弟です。時折ツクヨミと同一視されるケースもあります。おそらくは日本神話史上最も武勇伝の多い神様で、「ヤマタノオロチ討伐、国津神の祖、天変地異」と様々な側面を持っています。スサノオを語るとそれだけで一記事かけてしまいますので一旦はここまでで締めるとします。
あとスサノオには「マザコン」も追加で。FFのセフィロスもマザコンだけど強い奴はマザコンという概念があるのかね?
①八幡 「実はこれも特定の御利益があるわけではない」
- 総本山:宇佐神宮
- 主祭神:品陀別命(ほんだわけのみこと)
- 御利益:厄除けなど
- 神獣 :狛犬獅子
日本一数の多い八幡系統の神社は神明と同様に特定の御利益があるわけではありません。
理由は八幡に祭られているのは「天皇陛下」であるからです。
天皇陛下は天照の子孫とされており、神話では人ではなく神とされています。歴史では天皇ごとにさまざまなエピソードがあるのですが、皆一貫して「日本国を治めてきた」という性質があるため、三貴神同様に国を守る力を発揮する神社となります。
ただし、三貴神ほどに大きな範囲で守るわけではなく、周辺の土地やそこに住まう氏子を守る神様としての側面が強いです。
②天神 「受験で人気の勉学の神様」
- 総本山:太宰府天満宮・北野天満宮
- 主祭神:菅原道真(すがわらのみちざね)
- 御利益:勉学・合格祈願
- 神使 :牛
歴史上の人物が神として祭られているタイプの神社。
よく間違われるのだが、天神と天満宮は基本同じ。
勉学の神様として称えられており、受験生には大人気です。神使である牛の頭を撫でると学業が成就するとされており、こぞって撫でられる牛はやや剥げています。
総本山が二つあり、太宰府と北野それぞれの神主にきいても「こっちが総本山です」と答えられます。どっちつかずですが、好きな方へ行けばいいと思います。
③稲荷 「商売繁盛、五穀豊穣、金持ちになりたい!」
- 総本山:伏見稲荷大社
- 主祭神:宇賀之御魂(うがのみたま)
- 御利益:商売繁盛、五穀豊穣
- 神使 :狐
神社と寺を間違えられるランキング第1位。
日本三大稲荷が複数あるのは、「寺」か「神社」かで分かれているからです。
- 伏見稲荷大社
- 祐徳稲荷神社
- 笠間稲荷神社
この3つが「神社の日本三大稲荷」です。
ただし、昨今では草戸稲荷や竹コマ神社やらも名乗りをあげているので私の一存で断定はできません。ただ歴史を追って考えると上記3つが三大稲荷で間違いないと思います。
因みに寺である「豊川稲荷」の御本尊は「吒枳尼眞天」(だきにしんてん)と呼ばれる元インドの悪霊です。
主は毎年参ってます。
〇雀の丸焼き
五穀豊穣を願う稲荷にとって作物を荒らす雀は大敵です。
伏見稲荷の参道近くには名物「雀の丸焼き」が売っています。
④熊野 「浄化と道案内の神社」
- 総本山:熊野本宮大社
- 主祭神:熊野大権現(くまのだいごんげん)※スサノオ、速玉、熊野夫須美
- 御利益:浄化、道案内
- 神使 :八咫烏(ヤタガラス)
神仏習合が残った神社です。
通常の神社に「大権現」という名称は使われないのですが、お寺の側面が残っていることにより未だに用いています。
「浄化」という特別な御利益を持っており、「人の穢れを払ってくれる神社」です。
一般的な神社の場合、近しい人がなくなったら一定期間境内に踏み入ってはいけないとされています。
しかし、「浄化」の御利益がある熊野では「死の穢れを浄化する」ということで入ってもよい。……とも言われています。
〇八咫烏(ヤタガラス)の道案内
八咫烏とはアマテラスの孫である「ニニギノミコト」を導いた特別な鴉です。
八咫烏を神使としている神社は熊野の他に「猿田彦神社、下賀茂神社」などがあります。
これらの神社に祭られている神々は同一視されるケースもあり、熊野三社の境内にも祭られていることがあります。
⑤諏訪 「国津神の最強の武神を祭る、必勝祈願の神社」
- 総本山:諏訪大社本宮
- 主祭神:建御名方神(たけみなかた)※ミシャグジ様と呼ばれるケースもある。
- 御利益:必勝祈願
- 神使 :蛇
紹介した5つの神社の中で唯一の「国津神」の神社です。
出雲大社のオオクニヌシの息子である「武神タケミナカタ」を祭っています。
全国にある必勝祈願の神社の中で最大の勢力を持っていますが、天津神側である「武神タケミカズチ」を祭った「春日」系の神社とは敬遠の中とされています。
諏訪大社では色々な祭りが行われているけれど、とくに有名なのが
「7年に1度開催される御柱祭」だよ。
動物供養の役割があるらしい。
〇タケミナカタ以前の自主神(ミシャクジ様)
実はタケミナカタが諏訪の神になる以前に、神として祭られていた自主神がいるとされています。正式な名称は定かではないものの、「蛇の神様」や「ミシャグジ様」や「石神様」やらと言われています。
もしかしたら諏訪大社が祭られる長野県内にある「戸隠神社」の神様が元々いたから「石神様」なのかという考察もできますが、ハッキリとはしていません。
また、非常に執念深い神様であったとされており、「仇名すものには必ず祟る」と言われる祟り神とも言われています。
ゲーム女神転生とかでも「ミシャグジ様」の名前は使われているよね。なんか本当に呪があったとかなんとか……。
番外編縁結びについて
縁結びの神社というのは実は多くありません。
「出雲大社」は圧倒的に有名な縁結び神社ですが数が多いわけでもなく、他の縁結び神社も少数です。
そのせいか近年は「縁結びを自称する神社」も出てきているようで、調べてみたら本当は厄除けの神社だったということも多々あります。
〇地方の伝説が結びつくケース
縁結びだけに言えることではないのですが、昔に起きた武士や姫の恋愛の舞台となった神社などには、神様とは関係なく「史実や物語になぞらえた御利益」があるとされる神社があります。
神様が関わっていないため正直懐疑的ではありますが、御利益という概念自体がそもそも曖昧なものですので、一応「縁結び」ということで良いかと思います。
御利益を得るためには願い事は禁物!?
これまで御利益の話をしてきましたが、そもそも神社で願い事をするのはあまり良いことではないとされています。
神社とはあくまで「神様に日頃の感謝を伝える場所」です。感謝を伝える場で「お願い」をするのは無礼であるということです。
ではどうやって御利益を得るかというと、
「御利益を持つ神様にお礼を言うと、運をもらえる」という解釈です。
神社に赴き挨拶をすることで、自然と徳を得られる。縁結びの神様にあいさつをすれば縁結びの徳を、必勝祈願の神様にあいさつをすれば勝利の徳を得られるということです。
「願いを叶えてくれる」ではなく、「願いを叶えるための徳を分けてくれる」というように考えたほうが本質に近いでしょう。
まとめ
- 神様が同じなら神社が違っても御利益は同じ
- 神明は特別
- 主祭神様の御利益がメイン
- 八幡(厄除け)、天神(学業)、稲荷(商売、豊穣)、熊野(浄化)、諏訪(必勝)
- 縁結びは少ないけど、「大国主(オオクニヌシ)」が祭られていれば間違いない。
- 神社では日頃の感謝を
以上6つを知っておけば大体OKです。
もちろん紹介した以外にも神社は沢山ありますので、上記の神様がいないからと言って「偽物の御利益だ」などということにはなりません。
ただ神様を知っていれば調べなくてもわかってくるので、旅先の楽しみは増えるでしょう。
また、日本中のどこにいっても同じ神様がいるというのは、どこでも会える友人ができたようでうれしいものです。
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