1911年~1979年の第二次世界大戦中に実在したドイツ軍医師にして
史上最悪のマッドサイエンティスト
と呼ばれた男「ヨーゼフ・メンゲレ」を紹介します。
今回の偉人はクズです。
間違っても真似しないように。
死の天使と呼ばれた男
ヨーゼフは悪名高い「アウシュヴィッツ強制収容所」の奴隷たちを使って人体実験を行いました。
- 病原菌の注射
- 薬剤テスト
- 致命的な外傷を負わせて観察
- 全身を凍らせる
- 熱湯風呂に入れる
- 麻酔なしの解剖手術
悍ましい実験の数々ですが、これらは全てヨーゼフの研究欲を満たすために行われたとされています。
ヨーゼフは囚人たちのことをモルモットと読んでいたそうだ。
異名といい所業といい、ナイチンゲールとは正反対な奴だな。
ヒトラーの崇拝者
ヒトラーの農業支援政策によってヨーゼフの家が裕福になったこともあり、ヨーゼフに限らず一家全員がヒトラーの崇拝者でした。
医学研究の道に進んだヨーゼフは、ヒトラーが提唱した「超越人種理論」の崇拝者の一人「フェアシュアー」という博士に弟子入りし、そこでさらにのめり込んでいきました。
〇超越人種理論(人種主義)
人種間には根本的な優劣の差異があり、優等人種が下等人種を支配して然るべきという思想。
「人類の歴史上最大の悪」とされる思想の一つでありヒトラーの代名詞。
実はヨーゼフのユダヤ人に対する考え方は一般的なものとは異なっていたんだ。
多くのドイツ市民たちが「ユダヤ人は劣等種だ」と考えていたのに対して、ヨーゼフは「ユダヤ人はドイツ人と同じくらい優秀だが、ユダヤ人が世界を支配することを私は望まない」という理由で迫害していたらしい。
1500組の双子実験
ヨーゼフが最も執着したのは双子でした。
彼は強制収容所中の双子を手懐けて数々の実験を行います。
- 双子の目玉を取りだして双方の色や違いを観察
- 性器の転換
- 目玉に絵の具を注射して色を変える
- 双子の血液をそっくり入れ替えて生きていられるかの実験
- 手術によって双子を繋ぎ、双子が片方の臓器のみで生きられるかの実験(結合双生児の創造)
最初の内はただ観察するだけだったようですが、結局は実験体となった双子3000人中、生き残ったのは200人だけだったそうです。
結合させられた双子は痛みのあまり泣き叫び続けたことと、あまりに哀れな姿に耐えかねて、手術の3日後に両親が窒息死させたと記録されている。
……歴史上の人物に始めて殺意が湧いたよ。
研究以外ではとても慕われていた
ヨーゼフは意外にも実験以外では子供たちから慕われていました。
ヨーゼフは収容所の子供たちにやさしい言葉をかけたり、お菓子をあげたり、ドライブに連れて行くなどしたことで「他の人とは違って優しい」という印象を持たれていました。
……ただしそれは、その子供が実験体となるまでの間の話でした。
彼の内側には狂気の二面性が存在し、普段は優しい姿をみせるにもかかわらず、実験中に子供が騒ぐと
「実験結果が狂ったらどうしてくれるんだ!」
と怒り狂ったそうです。
〇イケメン
ヨーゼフは容姿端麗、頭脳明晰で一見好印象を抱かせる容姿をしていました。
そのため、彼を深く知らない人は彼の見た目に好印象を抱き、ついつい心を開いてしまったと言われています。そしてそれは子どもたちも同様であったということです。
イケメンでも子供に手を出す奴は許さん。
双子実験の生き残り
エバ・モーゼス・コーという実験の生き残りが当時の様子を語っている。
- 研究者のことは恨んでいなかった(子供時代で恨む余裕がなかったらしい)
- 「もう1日だけ頑張ろう」と自分に言い聞かせていた
〇憎まないことで過去のトラウマから解放されよう運動
エバ・モーゼス・コーは
過去に自分に酷いことをした人物(ヨーゼフ)を許すことで、自分自身の中にある「トラウマ」から解放されよう
という運動を提唱している。
迫害を受けて、収容されて、家畜のように働かされて、人体実験までされた挙句に家族や友人は軒並み殺された。
……そんな人が言う「相手を許そう」という言葉。
重みがあるね。
5人に1人の確率で双子が生まれる街
ドイツの敗戦後ヨーゼフはブラジルまで逃げ延び、海水浴を楽しんでいる最中に心臓発作で亡くなります。
しかしヨーゼフの死後、ブラジルの「カンディドゴドイ」という町で奇妙な事件が発生します。
どういうわけだか、世界平均の10倍である5人に一人の確率で「双子の子供が生まれる」という双子ラッシュが発生したのです。
しかも、「あるドイツ人の医者が提供した薬を使うようになってから双子の確率が飛躍的に上がった」という証言まで飛び出しました。
これは最早オカルトだね。ちょっと背筋が凍ったよ。
狂気に生きて半生を怯えて過ごした
- ナチスドイツの医者
- 収容所の人々を実験体にしたマッドサイエンティスト
- 特に双子の研究に熱心
- 世界で最も双子のメカニズムに近づいた人間(と言われている)
- 敗戦後は南アメリカ方面を転々として過ごした。
以上がヨーゼフ・メンゲレだ。
これは個人的な感想になるが、本当のヨーゼフは「罪を罪と認識していた常識人」だったのではないかと思う。
「自分の研究は正しい!」などと思い込むような狂気の医者というわけではなく、「自分のやっていることはいけないことだ。けれど欲求に抗えないうえに、何をしても捕まることはない」とタカを括っていた凡人のように思う。
逃亡先の彼は追跡される恐怖を日記に綴っており、彼と知らずに働いていた会社の同僚も、「ヨーゼフは常日頃から何かにおびえるようにキョロキョロとしており、僅かな物音にも過敏に反応するほど神経を衰弱させていた。」と話している。
もしもヨーゼフが本当に狂っていたのであれば、そんな当たり前の恐怖を感じて生き続けただろうか?自分のしたことが正しいと言い張るのであれば、たとえ死んだとしても研究を世に残そうとしたのではないだろうか?
少なくとも、研究の全てを捨てて誰にも見つからないようにひっそりと暮らすことを望むことはないように思うのだ。
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