児童文庫紹介①約束のネバーランドの元ネタ?≪2140サープラス・アンナの日記≫

本の紹介
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ジェマ・マリー著「2140サープラス・アンナの日記」を知っているかな?

かの有名な「アンネ・フランクの日記」から着想を得たであろう小説だ。

私がサープラス・アンネの日記を読んだのは中学生の頃。
最早10年以上前のことになる。

少年ジャンプにて話題となった「約束のネバーランド」という作品を読んだ時、この小説の事を思い出したため、今回紹介するに至った。

あらすじ① ≪リーガルとサープラス≫

あたしの名前はアンナ。
あたしは、
この世に存在してはならない……。
2140年1月11日

引用元:サープラス・アンナの日記

〇2140年人間は不死を手に入れた。

舞台は遥か未来の2140年。

進歩を重ねた人類が遂に「不老不死」の力を手に入れた世界の物語。
※正確には「内臓の老化を止める」。見た目は老いるし、怪我や飢餓で死ぬことはある。

一見すると素晴らしい未来のように思える出だしだが、不老不死がもたらしたのはプラス要素ばかりではなかった。

〇増えすぎる人類

不老不死となり死から解放された人類は人口増加の一途をたどった。

人口の増加は経済力の増加であるため、人類は目覚ましい発展を遂げることとなったが、同時に問題も抱えてしまう。それが……。

『地球資源の枯渇問題』だ。

簡単に言うと「増えすぎた人口を支えられるだけの食料資源がない」というわけだ。

この対抗手段として、人類は「人口増加制限」の法律を制定する。

〇リーガル

「リーガル」とは不老不死を得た人間の呼び名だ。

「ロングライフ」という名の薬を服用して文字通り「長命」となった人間たちのことだ。
※あくまで長命になるだけ。若返らない。
例:50歳で飲んだ場合永遠に50歳。(見た目は整形するしかない)

リーガルは「子供を作らない」という誓約によってロングライフを服用することができる。
しかし一部の上級国民のみ、1人だけ子供を作ることを許される特例も存在する。

一般人が子供を欲した場合、ロングライフを放棄する必要がある。

〇サープラス

「存在してはいけない人間」の呼称。
生まれてくることを政府が容認しなかった人間のことだ。

例:一般リーガルなのに子供を作った。
  二人目の子供を作った。

法律に反して生まれてしまったサープラスたちの扱いは国によって様々。
・即殺してしまう国
・奴隷として育てる国


……などとあるが、いずれも良い扱いを受けることはない。

あらすじ②サープラス・アンナ

ここから先は解説しすぎるとネタバレになりかねないため、少々言葉足らずになるかもしれない。

物語は少女の日記という形式で進むことになる。
少女が体験した出来事を少女自信が綴っていくことで少々独特な視点で展開されていく。

〇サープラス強制収容所

主人公の少女「アンナ」は幼い頃からサープラスの強制収容所で育った。
この国ではサープラスを有効活用するために奴隷として訓練している。

収容所内のサープラスの中でも優秀なアンナは、「優等生」としての地位を確立しており、一部教師(リーガル)からの信頼も勝ち取っていた。

〇新入りと崩れる思考

「自分は優秀なサープラスになるべきだ」と思い込んでいたアンナであったが、とある男の子が新入りとして施設に入ってきたことでその考えに亀裂が生じる。

サープラスは通常、体罰を恐れてリーガルに逆らうことはない。
人権が約束されていないサープラスに対してリーガルが容赦することはないからだ。

しかし新入りの男の子「ピーター」は堂々と反抗を繰り返す。
それこそどんなに暴力的な仕打ちを受けようとも決して引かなかった。

最初は馬鹿にしていたアンナだったが、自分の生きてきた常識と全く異った信念に従って生きるピーターの姿に段々と心を揺れ動かされていくこととなる……。

大人にもおすすめできる児童文庫

あらすじは以上だ。

この作品には他にも魅力的なキャラクターが登場する。

中でも「ミセス・ピンセント」という収容所の所長は、複数の印象を与えられるキャラクターだ。
(個人的に「約束のネバーランドの作者ぜったい影響されているだろ」と思った一番のキャラクターである。)

〇児童文庫のススメ

「サープラス・アンナの日記」について語れることは他にもあるが、ここから先は是非自分で読んでもらいたい。

中学生以上の読者にお勧めするが、あまり本に馴染みがなかったという社会人にとっても入門には向いている1冊だと思っている。大人と子供の社会を絶妙に描いている今作は、現代に対する多少の風刺も効いている。
「難しいのは嫌だけど子供っぽすぎるのも嫌だ」と考えているのであれば間違いないであろう。

私がこの本を購入した理由は「表紙が綺麗だったから」であるが、思いがけない良い買い物であったと今でも感じている。
子供の頃に私が感じた感動を共有してくれる誰かが増えることを期待している。

※因みに続編も存在するのだが、そちらは題名だけでネタバレになりかねないのでここでは紹介するのを伏せさせてもらう。

2140年、
人間は不死を手に入れた。
新しい命は、
もはや必要ではなくなった。

引用元:サープラス・アンナの日記

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